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公園に到着する前に彼女は追い付いた。気分が悪くなったことにして早退した そうだ。僕らが公園に着くと、待ってたような顔をして猫がいた。

公園のベンチで、僕らは情報を交換した。やはり、喫茶店では彼女も僕と同じ ものを見たようだ。彼女は頭の回転は速いようで、この現象を幻覚で片付ける には難があることにはすぐ気付いた。だからと言って、どう考えればよいかま では、やはり分からないようだったが。

その正体が幻覚だろうと化け物だろうと、猫がかわいいことには違いがない。 彼女はひざの上の猫をあやしていた。その姿が人にどう見られるかを指摘する と、彼女はちょっと困った顔をしたが、すぐににっこり笑って、

「私の部屋に来ませんか?一人暮らしだし、気兼ねは要りませんから」

僕はちょっととまどった。初対面の若い女性の部屋に行くのは非常識な気がし たのだ。彼女もそれに気がついたらしく、

「あ、変な意味にとられたら困るんですけど、ほら、その猫はあなたに付いて いくでしょう?だから、一緒に来ていただけたら猫も付いてくるんじゃない かと思って」

と、ちょっと照れたように笑った。その笑顔につられて、つい、うなづいてし まった。もっとも、最初から断わる気など無かったのだが。

彼女の部屋で僕らは、猫と一緒に遊んだ。それは本当に楽しい時間だった。僕 の方は、最初は下心が無かった訳ではないのだが、あんまり楽しいのでそんな ことはすぐに忘れてしまった。

やがて、遊び疲れた二人と一匹は猫を真ん中に川の字になって眠ってしまった。

そして僕は夢を見た。


つづく