「霊界の例会」

1)

暑くて寝苦しい夜だった。

これは当分眠れそうにないと覚悟を決めて、体力の回復だけはしておこうとベッ ドで横になっていたのだが、ふと気がつくと妙な場所に立っていた。周りが一面 真っ白で、頭上には青い空が広がっている。足元を見ると濃い霧のようなもので 地面が見えない。この霧のようなものが辺り一面を覆っているため、白い風景に なっているようだった。

状況からして、これは夢に違いないと思った。それはそうだろう。さっきまで寝 ようとしていたのだ。場所も変だし時間もおかしい。なのに何故か夢のような感 覚がなかった。今まで、夢の中で「これは夢だ」と認識したことは何度もあるが、 そのときはいつも夢であることが感覚的に分かったものだ。それが今回に限って は感覚は現実だと告げている。

「ハーイ、元気に死んでるぅ?」

若い女性の脳天気な声が背後から聞こえたのはそのときだった。呆然としたまま ゆっくり振り返ると、白い着物姿のきれいな女性が立っていた。その足元は霧の 中に霞んでいて、一見、宙に浮いてるようにも見えた。


つづく