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辿り着いたのは大きな建物だった。入り口には立看が置いてある。
「第二五七回世界霊界学会極東支部例会会場」
立看にはそう書いてあった。

中に入ると、受付でパンフレットを渡された。
「午前中にはあたしのこと話てたんだ。なんかむかつくー」
パンフレットにあるプログラムを見ると「四谷怪談: 現実と創作」という題名が あった。
「今、やってるの、これらしいわ。丁度、始まるとこ」
岩ちゃんが指差した先は「猫族の伝説: マダナイ氏の事例について」という項目 だった。

会場に入ると、中は人やら人でないものやらいろんな霊でごったがえしていた。 壇上では猫が喋っていた。

「我々、猫族には、ある条件が揃うと人間に転生するという伝説が古くからあり ますが、この度、条件が揃ったと報告されたマダナイ氏について、詳しく経過報 告をするとともに、将来についての予測を述べたいと思います。まず、この事例 では……」

話を聞いているうちに、急に暑くなってきた。一体、どうしたんだろうと思って ると、
「あらやだ、もう時間切れだわ。ごめんね、今度ゆっくり案内できるようにしと くから」

まだ、朝まで時間があるだろうと思ったが、ここでは時間の流れ方が違うと言わ れたのを思い出した。じゃあ、もう朝なのかな? 疲れがとれる暇がなくてもった いないな。なんてことを思ってるうちに眩暈がして、ふっと意識が途切れた。


つづく