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とにかく、「犬」のおかげで計画は大幅に遅れたわ。それどころか、「猫」が滅 亡する可能性もあった。実際、何か所もあったはずの「猫の里」も私の代では一 つしか残ってなかった。

でもね、三〇年前にようやく計画の最終段階にこぎつけたの。

その時期がきたら、「家猫」が次々に「野良猫」化することが分かってた。才能 が抑え切れなくなるのね。それを早期に確認する方法も確立してた。

幼少時の「野良猫」の確認は遺伝子情報と先天性異常の表われ方で分かることが あるの。軽い症状では興奮すると目の色が変わったり左右の目の色が違ったりす る程度だけど、重いものになると産まれたときから義眼の世話になるわ。あんた の上司みたいにね。

もちろん、異常が外から見えなかったり、身体的にも精神的にも異常の表われな い「野良猫」もいるし、逆に、症状が重すぎて才能が開花できなかったり、異常 が表われてるにもかかわらず「家猫」のままの場合もあるから、一概には言えな いけどね。

他の確認方法も全部試して、最終段階に入ってよしと判断されたのが三〇年ほど 前。その数年後に「クラリベル作戦」が発動されたの。全ての「猫」を越える 「獅子」を生みだすために。


つづく