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あんたの口から坊やの消息を聞いたときは嬉しかったな。名前を言ったわけじゃ ないけど、小柄な狙撃の名手が部下にいるって自慢してたでしょ。それでピンと きたから、いろいろ聞きだしちゃった。

すぐにでも会いに行こうかと思ったけど、あの情勢じゃあねえ。

結局、会う前にあんたがバカなことをしでかして、私のとこに転がり込んできて。 あのとき、兵の配置を根掘り葉掘り聞き出したでしょ? そのあと、坊やがいたは ずの場所を探してみたのよ。

死んでたわ、あのバカ。

知らなかった? 狙撃を強行しようとして返り討ちにあってたのよ。

で、帝国内の「猫」の糸口は切れてしまったから、自由惑星同盟に「猫」の痕跡 を探しに来たってわけ。共和主義者と一緒にこっちに来た一派がいたはずだから。 まだ、何にも手がかりがないけどね。

まあ、いいか。「クラリベル作戦」は成功したから、「猫」を再興する意義はあ まりないし。それに、キュンメル男爵を見れば分かると思うけど、マリーンドル フ家にも「猫」の血が流れてるの。だから、今後は、最も純粋な「猫」の血脈は 皇室に受け継がれることになるわね。私はもうお役御免。

あら、どうしたの、そんな顔して? まさか、今の話本気にしたの? 最初に言った じゃない、おとぎ話だって。

でもね、坊やが死んじゃったのは本当のこと。

だからさ、今夜は飲もうよ。あの坊やを思い出してさ。


つづく