今の夢はなんだったんだろう?目が覚めたときに最初に頭に浮かんだのはそん な疑問だった。ふと傍らを見ると、彼女もこちらを見ていた。彼女も目覚めた ばかりのようだ。
そして猫は……、猫はいない。去っていったのだろうか?なぜか、もう猫に会 えないような気がした。そう、あのようなものは手に余る疑問だけを残して、 去っていくものなのだ。
彼女に夢の話をしてみた。彼女も僕と同じ夢を見たらしい。「マダナイ」など というふざけた名前まで同じだった。説明のつかないことが、また一つ増えて しまった。
そんな訳で僕は困っていた。彼女も困っていた。
「どうしよう」
そう言った彼女の口元がとてもかわいかったので、僕はそっと口づけた。
しばらく二人で困ってみようと思う。