彼等は「猫」を名乗り、秘かに活動してた。研究を進めながらその成果を次々に 応用していく。しかも、秘密裏に。並大抵の苦労じゃなかったはずよ。
天才を生み出す可能性のある血統を探し、本人かその子供を仲間に入れるの。で もそれは異常者の血統を仲間に入れるということだわ。だから、異常性が発現し ない組み合わせを考えなくちゃいけない。
そんなことを何代か続けていくうちに、「猫」は女ばかりになったの。だって、 そういうことをするなら、女の方が絶対に有利だもの。女が気づかないうちに男 が子供を産ませるなんてできっこないけど、男が気づかないうちに女が子供を産 むのはできるから。男女の産み分けの技術も完成したけど、やっぱり女の側じゃ ないとどうしようもないし。
「猫」の女は計画の目的に最適な相手を見つける技術、見つけた相手を篭絡する 技術、受精するかしないかをコントロールする技術を徹底的にしこまれたわ。さ らに、一部の工作員には性を通して相手を支配する技術も。
最初の一〇〇年でなんとか基礎が固まったわ。天才を生み出す技術は特殊な才能 を見つけ、育てる技術でもあったから、どんどん楽になった。特殊技能の持ち主 を生み出すことで、加速度的に目標に近づいていったの。
早ければ次の一〇〇年で目標を達成できる、そう思われていたわ。「犬」が現れ るまでは。