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慎重に組織を拡大するうちに、我々は奇妙な諜報機関と接触することができた。 規模は不明であるが、三人を単位とした驚く程うまく組織された機関だ。

この機関のある構成員が111というインデクスを持っていたとしよう。彼は自分 の「親」である11を知っている。「兄弟」の112、113を知っている。「子供」の 1111、1112、1113を知っている。111が知っている構成員はこの六人だけである。 さらに、彼は「又従兄弟」である211の緊急連絡先を知っている。しかし、211は 111の連絡先を知らず、311の連絡先を知っている。

これで大体の構造が分かって頂けただろうか?

さて、111が機関を裏切って知ってる仲間を全部売ったとしよう。その孫達は全 て孤立することになる。その一人の11111はどんなことができるだろうか? まず、 「親」に連絡を取れない。「兄弟」「子供」のいずれに連絡を取っても解決にな らない。そこで、「又従兄弟」の11211に連絡を取る。11211は「親」の1121に連 絡を取る。しかし、その「親」の112に連絡を取れないので「又従兄弟」の1221 に連絡を取る。そのあとは「親」を辿って行けばよい。逆の連絡は1331、1131、 11311、11111の順に辿ればよい。機関は双方向の連絡を確保し、欠落部分の修復 に取り掛かることができる。

しかも、それぞれの構成員は「後継者」という準構成員を育てており、死亡や退 役による穴は速やかに埋められる。この方法で何十年もの間組織を維持してきた という。

見事な組織である。我々はこの機関のトップとの接触を試みた。


つづく