奈良戦後記:岡山への道     by KGK

 奈良で朝を迎えた我々は,三々五々集まった.
既に出発したA氏を除く四人である.奈良健康センターを出発した我々は,
異様に張り切ったD氏の先導の元,昨夜止めた駐車場へと向かった.
朝十時までは駐車料金が変わらないと聞かされていた我々が
駐車場にたどり着いたのは,九時五十分であった.

 車を取り戻した我々は,進路を西に取り一路岡山へ…
と向かわずに,途中で一旦南下した.目的は,「関空を観光する」である.
途中,D氏の生れ故郷の近くを通ったとき,彼は,「PLタワーが見える」
と言って指差してくれたが,予備知識のない我々には判別できなかった.
異常に高い通行料を払って関空に到着した我々は,早速見物して回った.
まだ工事中の所もあった.見学者の順路に沿って周って見たが,
見るべきものは何もなかった.順路からそれて,
右に行ってみた.何もなかった.
左に行ってみた.何もなかった.
前に行ってみた.行けなかった.
後に行ってみた.帰り道だった.
こうして我々は,驚くべき結論に達した:「関空には見るべき所がない」
一番見晴らしの良さそうな所はまだ工事中だった.

 やむなく,撤退の憂き目に会った我々は,進路を岡山に取った…はずであった.
道を間違えた我々は,一旦高速を降り市街地を駆け抜け再び高速に乗る
という賭けに出た.地理に疎い筆者にはよくわからなかったが,
A氏の住処の近くだったようだ.このままA氏の住処に行って,
「D氏参上」とドアに貼り紙して行ったら面白いだろうなと思っているうちに,
この難関を突破し,今度こそ進路を岡山に取った.

 残る敵は睡魔のみである.筆者はあえなく敗退したが,
C氏は勝ったようである.運転手である彼が負けていたら,
我々は無事に帰ることが出来なかったであろう.
やがて我々は,岡山に到着した.

 戦いは終った.
                           本当の終り