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Conclusion

本稿では, 殲滅方程式の導出の別解を与え, その副産物として戦闘中の兵力の推 移を与える式を導出した. 結果として得られたことは, 今や軍事科学上の常識と いえるものばかりである: 兵器の殺傷能力を倍にするよりは, 兵器の数を倍にし た方が効果的である. どれだけ兵力を揃えても, その大部分が戦闘に関与しない 遊兵であれば意味がない. などなど.

本稿の簡単なモデルに従う限りは, 戦略は少なくとも局所的には相手以上の兵力 を揃える技術になるだろうし, 戦術は自軍の遊兵を少なく, 敵軍の遊兵を多くす る技術ということになるだろう. 実際の戦闘ではもっと複雑な要因がからんでく るが, 本質的にはそんなに変わらないのではないだろうか.

本稿で導出した(20), (21)は, 戦闘の推移 を定量的に解析できるという点で興味深い. 実際の戦闘では敵を全滅させること は滅多にないだろうから, 例えば, 敵の1割を消耗させるときの戦闘時間と味方 の被害について考察することは面白いことだろうが, それは将来の課題として, ここでは一旦, 筆を置くことにする.


KGK == Keiji KOSAKA
1998-09-19