Next: Conclusion
Up: ランチェスターの殲滅方程式に関する一考察
Previous: One Dimensional Problem
次に, 遊兵が存在しないような全面衝突について考える.
Figure:
全面衝突
|
まず, 問題を単純化して, p = q の場合を考えよう. このとき微小時間
あたりの両軍の兵力の変化は, それぞれ,
,
となる. すなわち,
これらは, 式(4)に一見似てるように見えるが, 右辺に未知関数
が表われる点が違う.
少し細かい計算になるが, 微分方程式(7),
(8)を解くために, 両式から y を消去すると,
|
|
|
(9) |
となる. これの一般解は,
|
|
|
(10) |
である.1 ただし, A, B は積分定数である. 式
(10)を(7)に代入すれば y が求められる:
|
|
|
(11) |
初期条件, x(0) = x0, y(0) = y0 を(10),
(11)に代入すると,
|
|
|
(12) |
となり, よって,
|
|
|
(13) |
となる. Y軍が全滅する時刻を T とすると,
|
|
|
(14) |
これより,
|
|
|
(15) |
よって,
xT = x(T) |
= |
|
|
|
= |
|
(16) |
これは, 殲滅方程式(1)と同じ結果である.
x0 = 100, y0 = 50, p = 1, q = 1 のときの戦闘の推移は図
5のようになる. 遊兵の比率を除けば, 図2と
全く同じ条件だが, X軍の被害はかなり少ない. 戦闘終結時のX軍の被害は13程度
である. また, 戦闘時間が
n/x0 = 1/100 程度に短縮されている.
Figure:
全面衝突の戦闘の推移:
x0 = 100, y0 = 50, p = 1, q = 1
のとき
|
次に,
の場合を考えよう. このとき微小時間
あたりの
両軍の兵力の変化は, それぞれ,
,
となる. すなわち,
(17), (18)から y を消去すると,
|
|
|
(19) |
となる. p = q のときと同様の計算で,
x(t) |
= |
|
(20) |
y(t) |
= |
|
(21) |
s |
= |
|
(22) |
A |
= |
|
(23) |
となる. Y軍が全滅する時刻を T とすると,
|
|
|
(24) |
これより,
|
|
|
(25) |
これは, 拡張された殲滅方程式(2)と同じ結果である.
x0 = 100, y0 = 50, p = 1, q = 2 のときの戦闘の推移は図
6のようになる. 図3の場合は共倒れに持ち
込めたが, 今回は大勢に影響はない. 全滅が15%ほど先送りされただけである.
ただし, X軍の被害は図5の二倍をやや超えて30程度になってい
る. 二倍を超えたのは全滅が遅くなったためである.
Figure:
全面衝突の戦闘の推移:
x0 = 100, y0 = 50, p = 1, q = 2
のとき
|
Next: Conclusion
Up: ランチェスターの殲滅方程式に関する一考察
Previous: One Dimensional Problem
KGK == Keiji KOSAKA
1998-09-19