2)

「貴官らに集まってもらったのは他でもない、我らが第一三独立分艦隊の再編成 にあたり貴官らの一層の努力と緊密な協力を要請するためである」
クラウスニッツはそこで言葉を切り、集まった分艦隊幕僚達の顔を見回した後、 にやりと笑った。
「などというくだらない精神論を聞かせるために呼んだわけではないから安心し てくれ」
ブルクがこらえ切れずに吹き出して、その場の空気が一気になごんだ。

「まず、ブルク、このプランに沿ってティーデマンの乗艦の戦艦エルザの情報処 理機能と通信機能を旗艦並にしてくれ。期間は三日だ」
「三日ですか? こりゃ徹夜だな」
「文句言うな。その間に私はこのローゲに同じ改造をするんだ」
「そんなに手が足りないんですか?」
「この手の改造の指揮を取るとなるとなあ」
「シュムーデさんでも呼んどけばよかったですね」
「あの人は、ほら、爆発物関係が専門だから。そっち方面を欲しがる所に置いと かないと。まあ、工作艦を予約しといたからそれでなんとかしてくれ」
「了解、なんとかします」

「それから、マートブーホ、演習計画の骨組みを作っといたから肉付けしといて くれ」
「わかりました。うわ、一週間ぶっ続けの演習ですか」
「やりがいがありそうだろう。ウィルソン、マートブーホを手伝ってくれ」
「はっ」
「それから、貴官には単なる参謀というよりも情報参謀的な働きを期待している。 敵味方の情報に目を光らせておいてくれ」
「了解しました」

「ティーデマン、これから三日間、行軍指揮を頼む」
「まかせてくれ」
「それから、エルザの改造の概要はブルクに、演習の概要はマートブーホに教え てもらえ」
「お、おう。しかし、演習はともかく改造の方は理解できるかどうか……」
「なに、ユーザがとまどうようなタコなユーザ・インターフェイスは作らんさ。 それに操作するのはどうせオペレータだ。あんたは何ができるかだけ把握しとけ ばよろしい」
「それならなんとかなりそうだな。……多分……」
「演習までに目途をつけとかないと困るからな」
「お、おう」


つづく