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クラリベルというのは当時の最高の「猫」の名前なの。そして、最高の「猫」の 子が父親の資質を反転した形で受け継ぐとき、真の天才となる。それが、「猫」 の最終目標である「獅子」。

クラリベルの相手として選ばれたのがセバスチャン・フォン・ミューゼル。聞い たことがあるわよね、この名前? そうだったのよ。

計画にしたがってクラリベルはミューゼル家に嫁ぎ、娘と息子を産んだ。その後、 クラリベルは計画によらずして死んでしまった。予想はできたけど防ぐ努力さえ できなかった。

「野良猫」が次々に生まれるってことは、歪んだ「野良猫」である「犬」も生ま れやすくなるってことなの。確認できただけでも五人の「犬」がいたわ。そんな 状態で最高の「猫」であるクラリベルが世に出れば、いずれ殺されることは最初 から分かっていた。クラリベルはそれを承知の上で志願したの。

「クラリベル作戦」はその後も続いたわ。

私が計画の全貌を教えられた頃、作戦の最も悪辣な段階にさしかかってた。宮廷 内に潜む「猫」を使って当時の皇帝の目をクラリベルの娘に向けさせたの。「獅 子」に皇帝を憎ませるために。

そう、ミューゼル家の最大の仇は、実は、私達「猫」だったのよ。


つづく