奈良戦記:むひょーの巻     by KGK

 万策尽きた我々は,ついに切り札を出す事にした.
「タクシーに乗って泊まるところを見つけてもらう」
第一候補は,奈良健康センターである.
××駅に戻ってみると,幸いタクシーはすぐに見つかった.
奈良健康センターまでどのくらいかかるか聞いてみると,
料金にして5千円ぐらい,時間にして15分ぐらいだということだ.
さらに,そこなら泊まれそうだという心強い証言も得た.
早速,行ってもらう事にした.
タクシーの運ちゃんは,かなり飛ばして走ってくれた.
「スピードメータ見たら,80から100やったで(D氏談)」

 やがて我々は,奈良健康センターに無事到着した.
時刻は既に2時が来ようとしていた.
早速中に入った.中には,アロハシャツのようなファンキーな服装
(しかもみんな同じデザイン)をした,老若男女がうようよしていた.
入場料千円+深夜料金800円,これだけで取り敢えずは泊まれそうである.
しかし,中で何かしようと思ったら,高いようだ.
風呂は只だからいいとして,自販機のジュース150円,
カラオケ一曲200円と行った具合である.

 なにはともあれ,食料をかきこんだ我々は(××駅への道を
確認したコンビニで,我々は食料を確保していた),
散開して,それぞれに独自の行動を取った;風呂に行くもの,
すぐに寝る場所を探すもの,カラオケボックスの状況を調べるもの等々…….
私は,カラオケボックスを調べて,前述のように高いことを発見したため,
歌うことは断念し,素直に寝る場所を探した.
ところが,寝るために用意されたレストルームは,足の置き場がないほど
いっぱいである.その他,寝るに適したところ,つまり映画館や
廊下の居心地のいいところは全ていっぱいである.

 私は,廊下のとある一角にスペースを見つけ,横になった.
なぜそこが空いていたかは瞬時にして分かった.
カラオケボックスが近いのである.
私は騒音には多少耐性があるから大丈夫だと思ったが,
あまかったかもしれない.一応,音楽系のサークルに所属していたせいか,
下手な歌を聴くと許せないのである.(自分のことは棚に上げて)
しかも,一部の連中は歌っているとは言えず,叫んでるだけである.
そういった連中が「五時まで頑張るぞ」と雄叫びをあげたときには,
さすがにげっそりしたが,他に適当な場所がなさそうなので,
「眠れなくても,横になって体力を回復しよう」と自分に言い聞かせて,
その場を動かなかった.

 こうして,眠ったんだか眠ってないんだか分からないまま,奈良の夜が開けた.
その後,岡山に帰るまで戦いは続くのだが,その話は,
「奈良戦後記:岡山への道」に譲ることにして(おいおい,まだ書く気かよ),
ひとまず,閉幕.