リヴァモア日記:第2週

自転車

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そういえば、こっちは結構暖い。まだ2月の初めだというのに、 いつもなら4月の初め頃にする服装に落ち着いた。

朝、More先生が迎えに来た。開口一番「よし、生きてる」(- -)

研究所に到着して、建物の入口まで来たとき、More先生が私にドアを 開けてみろという。身分証のカードが電子ロックのキーになっているので、 それを試してみろというのだ。カードを通してみる。「スィッ」「カチャッ」。 なんなく開いた。カードを登録するときに暗証番号を打たされたが、 ここではいらないようだ。もっとセキュリティの堅いとことなら いるかもしれないが、そんな所、どうせ入れないから関係ない。 More先生は満足して、自分の研究室のある建物へと向かった。

一人で研究室の前に立った私は、昨日もらった鍵でドアを開けようとする。 「ガチャガチャ」あれっ?開かない!「ガチャガチャ。ガチャガチャ」 途方にくれた私は、その辺を通りかかった品のよい老婦人に助けを求める。 婦人は快く開けてみせてくれた。ありがとう、おばちゃん!! しかし、やっぱり回すだけでいいよな。ドアを開けた状態で試してみると、 回すだけで開く。もう一度ドアを閉めた状態で試してみる。 しまった、開かない!!どうしよう。困ってたら、またまたさっきの婦人が 通りかかって、「回し切った所で一度ドアを引っぱるといいのよ。やってみなさい」 と教えてくれた。やってみると見事開いた。
おおきに、おばちゃん!ほんま恩にきるでぇ!!

無事部屋に入った私は、取り敢えず自宅にe-mailしておく。 読んでくれるのはいつのことか。

昼はMore先生と花菱へ。貸してくれるはずの自転車を見せてもらう。 思ったよりいい自転車だ。ダウン・ハンドルの10段変則、 ばりばりのスポーツ・タイプだ。ハンドルは逆につけてた。

おかみさんの話によると、コックさんは日曜日をつぶして修理してくれたらしい。 日曜の晩になってもちゃんと直らなかったので、あきらめて寝たが、 朝になるとコックさんが自転車を車に積んでたそうな。 いつどうやって直したのか教えてくれなかったそうだが、 とにかく直ったらしい。

コックさんの話によると10年前に買って、ほとんど乗らなかったそうだ。 「日本では考えられないけど、アメリカでは10年たっても乗れるんですよ」と 川谷柘三そっくりの人のよさそうな笑顔で語ってくれた。

夕方になって自転車を引き取りに花菱に出かける。鍵がないと聞くと More先生がひとっぱしり買ってきてくれた。なんていい先生なんだ。 一人で夕食をとって、自転車を借りて帰る。ハンドルが逆なので、 ブレーキの位置がおかしいのとサドルがすごく高いのを除けば、すごく快調である。 慣れるまでは小回りが効かなくて恐かった。


(2月6日・火曜日) : [次の日] ; [前の日] ; [次の週] ; [前の週] ; [目次]

初めて一人で研究室に行く。濃い霧の中を快調に飛ばして、15分ぐらいで到着。 なだらかな登りで、結構しんどいけど、よい運動である。

昼にMore先生が、Joanne Levatinさんを紹介してくれた。がりがりに痩せた すんごい元気のいいおばちゃんだが、数学者で、コンピュータ関係に強いそうだ。 私のコンピュータ関係の世話をしてくれるらしい。三人で花菱で昼食。 しゃべり続けるJoanneさん……。

研究室に帰って、私の部屋のマックの様子をみて、マックをどかせてX端末を 置こうと言い出すJoanneさん。
ようし、まかせた!!


(2月7日・水曜日) : [次の日] ; [前の日] ; [次の週] ; [前の週] ; [目次]

More先生が、昼に、水野先生という日本人の研究者を紹介してくれた。 40代か50代ぐらいのおじさんだ(なんて大雑把な推定だ)。いっしょに花菱で食事。 水野先生が今度もう一人の日本人研究者を紹介してくれるという。


(2月8日・木曜日) : [次の日] ; [前の日] ; [次の週] ; [前の週] ; [目次]

帰りに自転車がパンクする。見ると、後のタイヤに、ごつい曲った釘が 根元まで刺さってる。

アパートまでは十分ぐらいで帰れた。不幸中の幸いというべきか。 近くの店でパンク修理の道具を買ってくる。水を使える場所が少ないので、 バスルームで修理することにけってー!タイヤだけはずして 持っていこうとするがボルトが堅くてはずれない。 しかたなく、自転車の後をバスルームに突っ込む。

パンク修理など15年振りぐらいだ。果してうまくいくのだろうか?

2時間後、パッチのほとんどを使い尽くしてあきらめる。なんて不器用な。

新しいチューブと、てこにするためのドライバーを買ってくる。 チューブを替えるためには、なんとしてもタイヤをはずさなければならない。 ドライバーをてこにして、パンク修理キットのレンチでボルトをはずそうとする。
「グイッ」凶悪無比に堅いなあ、こりゃ。
「グイッ」ドライバーが曲るかなあ?
「ボキッ」レンチが折れるなあ〜〜〜〜!!

既に店は閉まってる。今夜中に直すためには、もう一度パンク修理に ちょーせんするしかない!残り少なくなったパッチを駆使しても、まだ 漏れがある。いったんはがして捨てたパッチも利用して、なんとか漏れを止める。 よし、これで出来んかったら、もう知らん!タイヤをはめて軽目に空気を入れる。 おっ、なかなかよさそうだ。チューブが捻れないように、この段階でタイヤを ほぐす。

さぁ、本格的に空気を入れるぞ!!
「スコッ、スコッ、スコッ、プシューーーーー」
パッチがはずれたらしい。(- -;)

もう知らん!!飯食って寝よ!


(2月9日・金曜日) : [次の日] ; [前の日] ; [次の週] ; [前の週] ; [目次]

朝、ごついモンキーレンチを買ってくる。これではずれんかったら嘘やで。
「ググググッッッ、クイッ」動いたっ!反対側は?
「ググググッッッ、グッ、ググッッ、クイッ」動いた、動いたっ!
これでもうこっちのもんや!!

チューブを交換して、1時間遅れで研究所に向かった。

今日の昼は別のレストランに行こうと、More先生がいいだした。 行ってみると、タイ料理の店だった。ウェイトレスが典型的東南アジア系の すんごいかわいらしい女の子だった。日本語も少しは分かるというので、 何か言ってみろとMore先生がけしかけてみると、
「ワタシ、スコシ、ニホンゴガハナセマス」
と、かなりちゃんとした発音で言ってくれた。

午後、ごつい兄ちゃんが、研究室にX端末を持ってくる。何か疑問点が あるらしく、来週つなぐと言いだす。
まあ、よし!